人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『6/0 Six over Zero ― 六つの無限空間』

MM君「abrupt。」
KK「あれ?何だっけ?突然の、とか。」
MM君「当たり。」
KK「じゃ、participate in。」
MM君「参加する。」
KK「その通り。」

 30年ほど前のことなので、記憶が定かではありませんが…同級生のMM君と自分(=KK)とで、こんなやりとりをしながら高校への通学路を歩いていました。青春出版社『試験にでる英単語』『試験にでる英熟語』の、おさらいです。この効果があったのでしょうか、MM君も自分も無事に進学できました(2人とも1浪してしまいましたが)。
 MM君は長野県松本市にある国立の経済学部へ。自分は都内にある私立の文学部へ。共通点は、全くありません。しかしなぜか、交流が続きました。MM君が住んでいる松本の下宿を突然訪問したりして、びっくりさせたこともありました。そんな時には、山崎努の出演している『八つ墓村』のVHSビデオを回して歓待してくれました。
 その後、MM君は公務員となり、現在も同じ仕事を続けています。出身地近くに彼自身の家を建てたりして、堅実に暮らしているようです。自分はと言えば、2つの会社に勤めたもののドロップアウトして高円寺で小さい飲み屋をやっています。住まいは賃貸アパートです。
 共通点は、相変わらず全くありません。普通に考えれば交流は途切れてしまいそうなのですが、ありがたいことに今も続いています。

 2~3年前のことだったと思います。女性のお客様がポツリとご来店でした。確か、ビールをご注文でした。テーブル席にそれを運ぶと、声をかけられました。
 「MMの妹です。」
 「えええええ???」
 驚かないわけがありません。しかし、お顔を見ていると妙な安心感が湧いてきました。MM君に良く似ているからです。

 MM君の妹さん=NYさんは、お芝居(劇団の主宰と役者)をしているということでした。ちょっと面白そうだな、と興味を持って何度か舞台を拝見しました。
 変なもので、NYさんが演じていた姿を思い出すと、どうしてもMM君を舞台で見ていたような記憶に置換されてしまいます。兄と妹で顔が似ているから仕方がないよな、とも思ってみました。ただし、それだけではないような、不思議な感じがしました。

 昨年の秋頃だったでしょうか。
 「コネクシオンで芝居をしてみたいと思いますが、どうですか?」とNYさんから問い合わせがありました。
 「それはぜひ!」と即答しました。いつか誰かがそんなことを起案してくれるだろう。開業以来、うっすらと期待していたからです。

 半年ほど経過して、こんなメッセージがNYさんから届きました。
 「コネクシオンを舞台に書いた脚本をだいぶいじくり回して、友人がプロデュースする小冊子に掲載することになりました。」
 そして今年04月。NYさんが、その小冊子を持ってきてくださいました。「カフェバー伝書鳩」という短編がNYさんの作品でした。静かな雰囲気の空想小説です。
 あぁ、物事の着地点は、こんな形にもなるのか。今までのいろいろな事柄が交錯して、この小説になったのだろうか?と漠然と思いました。
 ただし、一つ。NYさんは、この店を良く見ている。空想の底に描かれているコネクシオンの様子。それだけは、明確にわかりました。
『6/0 Six over Zero ― 六つの無限空間』_c0099300_20060626.jpg

by connection1970 | 2017-08-25 20:09 | 本に関する話題 | Comments(0)
<< 今週~来週は…08/25(金)... 【新入荷】ニッカ・ザ・麦焼酎 >>