人気ブログランキング | 話題のタグを見る

コネクシオンで時々流れる音について・その6

 ボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞したらしい。いろいろな人がいろいろな意見を言っていて面白い。
 勝手な憶測だが意見を述べている人たちは今までのノーベル文学賞受賞者をほとんど知らないと思う。日本人であれば川端康成と大江健三郎を挙げられるかもしれない。しかし他にはせいぜいアーネスト・ヘミングウェイとアルベール・カミュくらいしか出てこないだろう。恐らくノーベル文学賞の選考委員も選考基準も全く知らないだろう。賞の何たるかも知らないのにボブ・ディランの受賞についてあれこれ意見を言っている。その光景が面白いのである。
 あぁ強気なことをつい軽々しく放ってしまった。正直なところ自分でもノーベル文学賞については全くの無知だ。無知な者が根拠もなく他人を無知だと嘲笑するほど滑稽なものはない。
 いずれにせよ無知な人々がノーベル文学賞に対して関心を抱くよう仕向けた功績だけでボブ・ディランは偉大なのかもしれない。
 
 手元に2枚組のレコードがある。ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス『エレクトリック・レディランド』。これを買った日付を覚えている。より正確にはその日起きた事がとても大きかったために日付を特定できると言うべきだろうか。
 1985年08月12日だった。曜日は覚えていない。高校1年の夏休みだった。まだ群馬の実家に住んでいた。電車で高校のある都市まで行きレコードを買った。いつも通学に使っている17:50頃に最寄の駅へ着く電車で帰ってきた。18:00過ぎには自宅に着き19:00頃には家族で夕食となっていた。テレビを見ていた。ニュース速報で“日航機が消息不明”と流れた。
 それからずっとテレビを見続けていた。“群馬県と長野県の県境に日航機が墜落した模様”…そんな内容の続報が流れていたように記憶している。“浅間山に墜落した飛行機が燃えている”という情報もあった。とにかく目が離せなかった。買ってきたばかりのジミ・ヘンドリックスは聴かなかった。
 少ない小遣いで買うレコードは厳選する。そんな高校生にとって買ってきたばかりは嬉しくて仕方がない。なのにすぐに聴かずにいたのは異例だった。だからこそその日のことを覚えているのだろう。

 『エレクトリック・レディランド』に「ウォッチ・タワー」が入っている。ボブ・ディランの作詞・作曲だ。レコードを購入してから30年以上経過しても食傷なく聴ける音楽である。
 付属のライナーノーツには次のように書かれている。
 ボブディラン(ママ)の曲“All Along Watch Tower(ママ)”では、歌手としてのジミ・ヘンドリックスの素晴らしさが聞かれる。ギタリストとしてあまりにもみとめられた彼の歌というのは、すみに置かれがちな所があるが、この曲では本当にすばらしい歌唱力を発揮している。

 自分はこれを何回聴いたのか。もちろんカウントなどしていない。100や200の回数では収まらないだろう。ライナーノーツの裏側にある歌詞をリーダーズ英和辞典片手に理解しようと試みたこともある。だが何もわからなかった。
 この20年ほどの間でインターネットが普及した。「ウォッチ・タワー=見張塔からずっと」に関して情報検索してみるとWikipediaにはこんな記述が出てくる。
 歌詞は『聖書』「イザヤ書」第21章の、見張り塔から馬に乗った二人の男が来るのが見えたとき、堕落したバビロンが崩壊したことを知るという逸話を踏まえており、ディランは二人の男に道化師と泥棒、見張り人に王子達を配して、彼の社会観を象徴する寓話的な内容に仕立てている。
 ボブ・ディランの社会観を象徴する寓話的な内容…か。他のボブ・ディランの作品についてほとんど知らないので何とも言えない。そもそも自分はキリスト教徒でもなく母国語も英語でない日本人である。わからなくて当たり前かもしれない。

 2016年10月13日。木曜日だった。時間は20:30頃だっただろうか。実家へ帰っていた。テレビを見ていた。ニュース速報で“ノーベル文学賞にアメリカのミュージシャン ボブ・ディラン氏”と流れた。
 驚いた。次の瞬間には『エレクトリック・レディランド』の「ウォッチ・タワー」を思い出した。
by connection1970 | 2016-11-07 22:03 | 音楽に関する話題 | Comments(0)
<< コネクシオン日誌161030~... 驚きました・その3 >>