2017年03月27日(月)。
前日の退勤時は降雨。そのため自転車を職場に置き徒歩で帰宅していた。
16:30頃に自宅を発つ。再び徒歩だ。
ある古書店の前を通りかかる。戸外の100円均一書棚を眺める。『
アラン島』というタイトルの岩波の文庫本に視線が定まる。これはスコッチのシングルモルトウイスキー「
アラン」の生産地=アラン島ではないか!と嬉しくなる。手に取って中をペラペラと見る。巻末の“あとがき”には…
愛蘭土の劇作家ジョン・ミリングトン・シング(John Millington Synge, 1871-1904)は劇作のほかに、幾つかの散文の作品を残してゐる。(p.245)
と記してある。おや。愛蘭土=アイルランドだろう?蘇格蘭土(スコットランド)とか英吉利(イギリス)とかじゃないのか。まぁいいや。どうせ100円なんだから。買っておけ。
レジで消費税を合わせた108円を支払う。良い本と遭遇できた満足感。ふふふ。職場へ向かって歩きながら考える。「アラン」はこのあいだ売り切ってしまった。また仕入れなくては。この際だから他バージョンの「アラン」も合わせて何本か買ってしまおうかなぁ。いやいや。そんなに儲かっていないんだからムリムリ。
職場はいつも通り18:00始業。気温が低めの日。恐らくヒマだろう。事務作業をしたり店内の掃除をしたり。21:00を回る。相変わらず動きナシ。うぅむ。買ってきた『アラン島』でも読むか。
巻頭に“「アラン島」について”という文がある。
野上豊一郎。おッいいじゃないか。この人の別荘は自分の出身地の隣町にあったことだし。
続いて本編に入る。最初に著者による“緒言”がある。
アラン島の地理は甚だ簡単であるが、これに就き一言する必要があらう。それは三つの島から成る。(p.9)
あれれれ。島が三つだって?シングルモルトウイスキーの「アラン」とはちょっと違うんじゃないのかな?最初に確認していた“あとがき”の部分を再度開いてみる。
それ等は主に愛蘭土の諸地方を旅行して書いた紀行乃至随筆であるが、その中での「アラン島」(The Aran Islands)は比較的初期のもので(下略)(p.245)
と記してある。ん?シングルモルトウイスキーは確か「Isle of Arran」とどこかに書いてあったはずだぞ。単数形だし綴りも微妙に違う。そこで、Aran Islandsを調べてみると…アイルランドの
アラン諸島のことらしい。あーあ。どうも早とちりをしてしまったようだ。
そう思いつつも手中の『アラン島』をペラペラとめくって読んでみる。
私はキラニー ―アランモアの最も貧しい村― を通り抜けて、南西へ海の中に伸びてゐる砂山の長い頸まで出かけた。其處で草の上に坐ると、コニマラの山には雲が霽れて、しばらくの間青く起伏する前景は、遠くの山山を背景として、私にローマ近くの田舎を想ひ出させた。(p.17)
そうこうしているうちに定時の終業時間を迎える。ご来客ナシで完結。2017年初の完全試合達成である。