1冊の本を紹介します。
城アラキ『バーテンダーの流儀』集英社新書 2020年(令和2年)
書店で見付けました。パラパラと中を覗いて、読んでおかないとイカンな…と思いました。
カバーの紹介文に、こんなことが書いてありました。
ヒット作『バーテンダー』『ソムリエ』をはじめ、酒と酒にまつわる人間関係を描き続けてきた漫画原作者が送る、教養としての大人のバー入門。初心者から、誰もがバーを愉しめるコツを、ユーモアを交え豊富なエピソードを通して伝授する。巻末の厳選バーリスト100は必見!
(カバーの表紙内側)
奥付をチェックすると、今年=2020年(令和2年)の04月に第1刷。おーッ、こりゃぜひ早いうちに。ということで迷わず購入しました。
自分の属している業種・業態を贔屓したい気持ちもかなりありますけれど…“バー”って、超一流店と誰もが推挙するようなお店であっても、初心者が比較的入りやすいのではないでしょうか。
例えば、旅館やホテルでの宿泊、あるいはレストランやすし店での食事を比較対象としましょう。日常づかいのところならばまだしも、相手が超一流となるとビビッてしまいますよね。どう振舞って良いのか、何をどう食べたり飲んだりすれば良いのか、サッパリ想像がつかないでしょう。さらに1万円札が一体何枚あれば足りるのか?まぁ正直、自分自身、バーも含めてそんな高レベルのところへ行ったことが一度もないのですけれどねぇ。
とは言え、バーは超一流店であっても入りやすいのでは?と考えるのにはいくつか理由があります。1つは、提供される商品とサービスとが事前にほぼ想定できること。もう1つは、仮に座ってみてすぐに居心地悪く感じた場合、そこまでの1杯だけのお勘定で引き上げられること。さらにもう1つ。その1杯だけの金額が、何かしらのスペシャルな要素がなければ恐らく3,000~4,000円程度で済むであろうこと。
スーパーでも売っているくらいのウイスキーを1杯飲んだだけで3,000円も取られるのかよ!という心の声は、当然でしょう。しかし、超一流の旅館やホテルあるいはレストランやすし店で、数千円だけ払ってサラリと正当に帰ることは、無理に違いないです(多分)。
そこで、この本をガイドにして超一流のバーへ!と言いたいところなのですけれど、どうも自分の心の底から言えないんです。
本としては、大変良いと思います。実際に足で稼いだ貴重な情報がたくさん入っていますし、文章も古今東西の名著からの引用をうまく使っていたりして、飽きることなく読了できました。
ただ、何と表現すべきか…12気筒のエンジンを積んだフェラーリのスポーツカーを見ているような気分に、どうしてもなってしまいます。なぜなんだろう??
ところで、エピローグにある言葉は、とても響きました。最後に書き写しておきます。
良いバーがあるわけでも、良いバーテンダーがいるわけでもない。気の合うバー、気の合うバーテンダーがいるだけなのだ。
(p.215)